リスクとリターン

いままで当ブログにおいて、本業に差し障らない程度に副業を行うことでリスクヘッジを図っていくことの重要性を申し上げてきました。

そしてその先には、前回お話ししたように、会社の看板を可能な限り利用して、会社に捨てられる前に自分から会社を捨てられる力を身に着けておくべき、といった少々強気な考えがあることも紹介いたしました。

しかしながら、その強気な考え方を実践する前に、ご自身のそもそもの人となりを分析する必要があると思います。確かに上記の考え方には一定の合理性はあるものの、会社とは関係のないところであからさまに会社の看板を利用することは、同僚の目もあり、本業に差し障る可能性も高いと思います。何かに特別秀でた能力をもつとか、相当の人たらしのかたでなければ、会社を捨てる前に会社に捨てられてしまうかもしれません。また、これをそつなくこなせるというのであれば、そもそもサラリーマンでなくとも成功する可能性の高いかただと思います。従って、わたくし自身は一般的なサラリーマンに必要以上に会社の看板を可能な限り利用するというこの考え方を勧めることはいたしません。

 

ところで、個人の能力は別にして、個人のマインドとして、独立志向が高いかそうでないかを分類する時に非常に有用な判断があります。それは、その人のリスクとリターンの最適トレードオフがどこにあるか、という視点です。高リスク高リターンの選択をする人か、低リスクそこそこのリターンの選択をする人か、という視点です。一般的なサラリーマンのかたが、その道を選択している一つの理由に、この世に生まれて、何かで成功を収めたいのはやまやまだけれども、立ち直れないほどの大失敗してしまうよりは、わりと確実に望めるそこそこの人生を選択したい、と考えていることが挙げられます。

その大多数の一般のサラリーマンのかたのマインドとともに、従前の終身雇用を基盤とする日本型経営の存在が、そこそこのリターンをもたらすためのリスクを限りなく低減することに成功し、リスク回避型の人生設計をすることがより合理的であった時代が長く続きました。

そして、ここにきての突然の労働環境の変化が、多くの一般のサラリーマンのかたの視界を悪くしている恐れがあります。そもそも一般のサラリーマンのかたの多くは、リスクをとることを得意とはしません。インフルエンサーに触発されて、深い思慮もなく我が身を見失って賭けに出る前に、もう一度じっくり自己分析からやり直す必要があるとおもいます。