政府が助成金で「雇用シェア」を強化

厚生労働省は、従業員との雇用関係を維持しながら他社に出向させる、いわゆる「雇用シェア」というスタイルを推進するため、「産業雇用安定助成金」を創設するようです。

これは、従前からある雇用調整助成金(従業員の休業手当を企業に助成)とは別に、出向元のみならず出向先の企業にも助成を行うことで、従業員を休業させるのではなく、出向へとシフトさせようとする動きです。

新型コロナウイルスの感染拡大で、航空会社など一部の業績悪化が著しい企業に、従業員を手放すことなしで、一定期間企業をスリム化させるための必要な手段なのでしょう。

ただ、この動きは、硬直化した労働市場をもつ日本独特の動きとみることもできます。とにかくやめない従業員を業務だけでも他に振り向けたいとする国の意向が見え隠れします。

 

 

年功序列、終身雇用を基礎とした、従来型雇用システムは崩壊しつつあるとはいえども、労働市場の流動化は遅々として進まない日本です。

労働市場の流動化が進まない大きな理由として挙げられるのが、転職が不利であるという厳然たる事実の存在です。そして、その核心は、年功序列・終身雇用を前提として成り立っていた企業のそのプロパー従業員をマジョリティとする組織の中で、中途入社組が転職先で正当な評価をされにくい、という状況からきていると推察します。

 

多くの従業員は転職が不利であるという事実を理解しており、会社をやめません。

そこで、会社は有利な早期退職制度などを創設しますが、多くの従業員はそれでもやめません。

なぜならば、至極当然のことなのですが、会社からすれば、そのかなり有利な早期退職制度を利用してもらってでも従業員に退職してもらったほうが理にかなうからこそ、このような制度を設けているということを従業員は分かっているからです。

 

当ブログでも、安易な転職を考えることなく、副業しながら様子を見るというスタンツを勧める方向でこれまで、またこれからも、文章をつづっていくつもりです。

労働者の評価が公正な方向に進まない限り、なかなか前へ進めないのが日本のようです。

ただ、一個人として準備できることは多そうです。